[キット・モジュール]
オール・トランジスタ4bitコンピュータ CPU1738

ALU,レジスタ,I/Oなどをトランジスタ・レベルで手作りし,さらにFPGAにも実装

1738個のMOSFETで動く4bitコンピュータ“CPU1738”の概要

コンピュータの心臓部を作る

写真1に示すのは,1738個のトランジスタで構成されたフルディスクリートの4ビットCPU(central processing unit)「CPU1738」です.

動画1は,CPU1738の動作中のビデオです.動画2は,CPU1738にモータ駆動回路とセンサ入力回路を追加して作った移動ロボットです.壁にぶつかるたびに向きを変えて前進したり,後進したりします.シンプルなCPUでも,自分で条件を判断しながら処理を進めることがわかります.

CPU1738は,現代の多くのCPUが備える基本要素をすべてもっています(図1).

写真1 フルディスクリートCPU CPU1738
動画1 CPU単体の動作のようす 動画2 キットに付属する車体(モータ付き)をCPU1738で制御して自走させているところ
図1 CPU1738は現代のCPUがもつ要路回路をすべて備える

CPUを1つのシステムと見なしたとき,その構造を表現するために「アーキテクチャ」(architecture)という言葉が使われます.図1に,本キット「CPU1738」のアーキテクチャを示します.

本CPUキットで使っている半導体部品は,MOSFETとダイオード(LEDも含む)だけです.ICはいっさい使わずにコンピュータとしての動作を実現しています.表1に使用した部品の種類と個数を示します.

表1 CPU1738を構成する部品の種類と数

MOSFETの数は「合計1738個」,ディジタル回路ブロック(論理ゲート回路)の数は「合計336個」です(表2).

表2 オール・トランジスタ製4ビットCPUの製作に使った論理ゲートの種類と個数

本CPUキットは,写真2に示す「ディジタル回路ブロック」で構成されています.このブロックの基板にMOSFETをはんだ付けすると,トランジスタ・レベルでCMOSのディジタル回路が完成します.信号ラインにはLEDが付いているので,すべての信号線の状態を一目で確認できます(写真3).

写真2 フルディスクリートCPUはミニ・モジュール「ディジタル回路ブロック」を組み合わせて作る
写真3 信号ラインにはLEDが付いているので,すべての信号線の状態を一目で確認できる

ディジタル回路ブロックは全部で10種類あり,1つ1つのブロックは「ANDゲート」,「ORゲート」,「NOTゲート」といった基本的な論理ゲート回路として動作します.CPU1738は,このブロックを組み合わせて作られています.

詳しい使い方がわかる技術解説記事とマニュアル

開発者紹介

略歴

  • 2011年 東京工業大学 工学部 電気電子工学科 卒業
  • 2013年 東京工業大学大学院 理工学研究科 電子物理工学専攻 修了
  • 2013年 株式会社アドバンテスト 入社
  • 2016年 株式会社村田製作所 入社
  • 2019年 リニア・テック 開業

主な著書

  • 電子回路のキホン 要点マスタ50,トランジスタ技術,2015年5月号,別冊付録,CQ出版社.
  • 情熱のフル・ディスクリートFMラジオ,トランジスタ技術,2016年1月号 特集 第5章,CQ出版社.
  • 本質理解!万能アナログ回路塾,トラジスタ技術,2017年9月号,連載,CQ出版社.
  • 初等関数と微分・積分,2019年,CQ出版社.
  • 月着陸船アポロに学ぶ確率統計コンピュータ,トランジスタ技術,2019年7月号 特集,CQ出版社.
  • 大解剖!CPUはこうやって動いている,トランジスタ技術,2020年5月号 特集,CQ出版社.