非反転バッファや単電源アンプにレール・ツー・レールOPアンプ
実験キットで学ぶ初歩電子回路設計
レール・ツー・レールOPアンプとは
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図1 レール・ツー・レールOPアンプは,入力端子や出力端子が電源電圧に非常に近い範囲で動作可能なOPアンプ.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[講師]善養寺薫(ディスクリテック) 詳細:[VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ初歩の電子回路設計 |
レール・ツー・レール(Rail-to-Rail)OPアンプは,入力端子や出力端子が電源電圧に非常に近い範囲で動作可能なOPアンプです.単電源や低電圧回路でも,下限側の0V付近から上限側の電源電圧近くまで信号を扱うことができます.出力端は電源に対して数十mVのロスがあるだけで,ほぼフルスイングでの出力が可能です.
非反転バッファや単電源アンプでの利用
非反転バッファとして使用する場合,入力信号は$V_{in}$で与えられ,出力信号はほぼ同じ電圧範囲で再現されます.単電源アンプとして使用する場合も,マイナス側の電源を0Vにする必要はなく,動作電圧範囲を確認しながら柔軟に設定できます.データシートに記載されている最大電圧や電源電圧差に従うことで安全に設計可能です.
実験で確認するポイント
- 出力電圧範囲の確認:0V近傍から$V_{DD}$近くまで正しく出力できるか
- 入力電圧範囲の確認:プラス・マイナス入力端子に$V_{SS}$から$V_{DD}$まで入力可能か
- 単電源運用時の動作確認:マイナス側を0V以外に設定した場合でも正常動作するか
- 誤差の観測:レール・ツー・レールOPアンプでも下側の出力制限や非理想特性による誤差を確認
実務的な設計のポイント
実験キットを用いることで,低電圧や単電源条件での出力特性を体感できます.マイナス側を-1Vやダイオードで-0.7Vに設定することで,動作範囲を工夫することも可能です.アナログ信号の測定回路や低電圧制御回路では,出力の最小電圧や入力端子の許容範囲を把握して設計することが重要です.レール・ツー・レールOPアンプを用いることで,フルレンジでの信号処理が可能になり,単電源でも高精度なバッファやアンプ回路を構成できます.
これらの特性を理解することで,非反転バッファや単電源アンプ設計時の部品選定や回路設計の判断に役立ちます.出力範囲や入力範囲の制約を把握したうえで実験を行うと,レール・ツー・レールOPアンプの利便性を最大限活かすことができます.
〈著:ZEPマガジン〉参考文献
- [VOD]高速&エラーレス!5G×EV時代のプリント基板&回路設計 100の要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD] Before After! ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [Book/PDF]デシベルから始めるプリント基板EMC 即答200,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]ポケット・スペアナで手軽に!基板と回路のEMCノイズ対策 10の定石,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点,ZEPエンジニアリング株式会社.