Zynq FPGA入門各社FPGAと利用できるCPU

ARM/RISC-VからMicroBlazeまで

FPGA-SoCの代表例とCPUアーキテクチャ


図1　Zynq-7000 SoCやZynq UltraScale+ MPSoCは，ARM Cortex-A9やCortex-A53を，Arria 10やCyclone Vは，ARM Cortex-A9を，AgilexやStratix 10は，ARM Cortex-A53やA72を搭載する．画像クリックで動画を見る．または記事を読む．［提供・著］森岡澄夫詳細：【Cora Z7-07S Zynq-7000開発ボード付き】Zynqで初めてのFPGA×Linux I/O搭載カスタムSoC製作

図1　Zynq-7000 SoCやZynq UltraScale+ MPSoCは，ARM Cortex-A9やCortex-A53を，Arria 10やCyclone Vは，ARM Cortex-A9を，AgilexやStratix 10は，ARM Cortex-A53やA72を搭載する．画像クリックで動画を見る．または記事を読む．［提供・著］森岡澄夫
詳細：【Cora Z7-07S Zynq-7000開発ボード付き】Zynqで初めてのFPGA×Linux I/O搭載カスタムSoC製作

FPGA（Field Programmable Gate Array）はその柔軟性と性能から，多様な用途で注目されています．

FPGA-SoCでは，CPUとFPGAが同一チップに統合され，ハードウェアとソフトウェアの協調設計が可能になります．以下に主要なFPGA-SoCの例と，それに搭載されているプロセッサを示します．

Microsemi SmartFusion2
ARM Cortex-M3を搭載し，低消費電力ながら166 MHzの動作を実現します．小型組み込み機器での利用に適しています
Intel SoCシリーズ
Arria 10やCyclone Vでは，ARM Cortex-A9を採用し，最大1.2 GHzの動作周波数でミッドレンジ・アプリケーションを対象にしています．AgilexやStratix 10では，ARM Cortex-A53やA72を搭載します
Xilinx Zynqシリーズ
Zynq-7000 SoCやZynq UltraScale+ MPSoCは，ARM Cortex-A9やCortex-A53を備え，さらにCortex-R5/R5Fコアも搭載しています．これにより，リアルタイム処理と高性能計算が可能です

強力なハードウェア・アクセラレーション
Zynqは，FPGA部分を使用して高速なデータ処理を行い，ソフトウェアでは実現困難なリアルタイム性を達成します．ビデオ処理や信号処理では，専用のロジックを設計することで高い性能を発揮します
柔軟なメモリ構成
外部メモリとしてDDR4やLPDDR4が使用可能で，最大帯域幅を確保できます．キャッシュ・メモリ（L1およびL2）の最適化により，高速なデータ・アクセスが可能です
多様なCPUコア
Zynq UltraScale+ MPSoCは，ARM Cortex-A53とCortex-R5Fを組み合わせており，最大1.5 GHzおよび750 MHzで動作します．この構成は，並列処理とリアルタイム処理の両立を可能にします

Zynqシリーズの成功の鍵は，その「ヘテロジニアス計算能力」にあります．この概念は，異なる特性をもつCPUとFPGAが互いに補完し合うことを意味します．

Zynq UltraScale+ MPSoCは，AI推論で要求される高い計算性能を提供します．FPGA部分で推論モデルの演算を行い，CPU部分で結果の集約や制御を実施します．これにより，エッジ・デバイスでのリアルタイム処理が可能になります．

Cortex-R5Fのリアルタイム特性は，産業用制御システムに最適です．FPGA部分でデータ取得やフィルタリングを行い，CPUで高レベルの制御アルゴリズムを実行します．このように，Zynqは時間の厳しい制約があるアプリケーションにおいて優位性を発揮します．〈著：ZEPマガジン〉

NTT，IBM，Sony，NECの各研究所において高性能回路IPやハイレベル・シンセシスの研究，およびプレイステーションなどの製品用SoC開発に従事した後，現職にて民間宇宙ロケットの飛行制御コンピュータの研究開発に従事．FPGAや高位合成を活用している