[Book/PDF]デシベルから始めるプリント基板EMC 即答200

平衡度とコモンモード発生の関係から偶数波増大の理由まで



あらまし

本書は,LearnEMC社のwebサイトに「EMC Question of the Week」と題して,2017年から2020年末までTodd Hubing教授により毎週出題された全200問をまとめた書籍“EMC Question of the Week: 2017-2020”の日本語版です.

原著では日付順に表れる設問を日本語版では読みやすさのために,「第1部 エレクトロニクスの基礎」,「第2部 テクニックによるノイズ対策」,「第3部 部品によるノイズ対策」,「第4部 理論・メカニズム」,「第5部 規制・シミュレーション」のカテゴリに分け,解答解説では読者の理解を深めるために訳者による適切な注釈を加えています.

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目次

第1章 エレクトロニクスの基礎

  • 1.1 デシベルの引き算は割り算.単位はつかない
  • 1.2 デシベルの引き算は倍率を表す
  • 1.3 30dB 減衰器は信号電圧を1/30にする
  • 1.4 放射電力はdBm で表す
  • 1.5 デシベルはベルの1/10 だけど,10dB を1B(ベル) とは呼ばない
  • 1.6 回路の入射/反射/透過の特性を表す4 つの$S$ パラメータ
  • 1.7 $S_{11}$ と反射損失はべつもの
  • 1.8 周波数は線形システムで不変なもの
  • 1.9 線形システムと非線形システムの見分け方
  • 1.10 高調波の抑制には遷移時間の延長が効く
  • 1.11 デシベルを活用しよう
  • 1.12 $1=\dfrac{1}{\pi t_r}$ で求まるコーナ周波数以上で効果あり
  • 1.13 スペアナの電圧レベル表示[dB$\mu$V] は実効値[V$_{\mathrm{RMS}}$]
  • 1.14 スペクトラムの合成は電圧の2 乗和の平方根
  • 1.15 暗算!計算式!シミュレータ!高調波レベルの求め方
  • 1.16 すべての回路は「マクスウェルの方程式」に従う
  • 1.17 物体の帯電量÷物体の絶対静電容量で求まる
  • 1.18 表皮深さを参考にして適切な導体厚を決める
  • 1.19 同軸ケーブル内の「磁界と電界の比」と「電流と電圧の比」
  • 1.20 どんなアンテナにも指向性がある
  • 1.21 完全導体表面の電界の接線成分はゼロ
  • 1.22 電磁界の双対性を利用した有用な概念「磁流」と「磁荷」
  • 1.23 電束密度に関するガウスの法則(微分表現) の意味
  • 1.24 磁束密度に関するガウスの法則(微分表現) の意味
  • 1.25 アンペールの声「すべての電流は磁界に囲まれている」
  • 1.26 実在する材料の比誘電率と比透磁率は1 以上
  • 1.27 信号配線とその下にあるグラウンド面との間の電界強度
  • 1.28 信号配線幅が狭いほど磁界強度が強まる
  • 1.29 2つの物体が触れ合うと電荷が移動する
  • 1.30 高周波磁界は導体内に浸透できない
  • 1.31 ローレンツ力を利用したホール・センサのメカニズム
  • 1.32 グラウンド位置で,垂直偏波の電界は最大,水平偏波は最小
  • 1.33 電界や磁界のベクトルは複素数を使う「フェーザ表示」が便利
  • 1.34 「磁界強度$H$」と「磁束密度$B$」を正しく使い分けよう
  • 1.35 インダクタンスを見積もる
  • 1.36 インダクタンスは電流ループが生む性質
  • 1.37 電流経路不明ではインダクタンスは決まらない
  • 1.38 一に長さ,二に幅が効く!厚みと透磁率は無視してよし
  • 1.39 表皮効果を無視できる低周波では一定,高周波ではゼロ
  • 1.40 ゴルフ・ボールは2pF,バスケット・ボールは12pF
  • 1.41 整合していないレシーバが受信する電力は?
  • 1.42 流れ出た電流は,必ず信号源に戻ってくる
  • 1.43 電流は,最短距離じゃなくインピーダンス最小ルートで帰ってくる
  • 1.44 クロストーク由来の放射,伝導エミッション
  • 1.45 伝送線路には周波数の高い電流ほど流れにくい
  • 1.46 クロストーク発生量は銅箔厚から一目瞭然
  • 1.47 非接触ESD は空気の絶縁破壊
  • 1.48 30kV/cm と覚えよう
  • 1.49 電子を受け取りやすい材料は電子親和力が高い

第2章 テクニックによるノイズ対策

  • 2.1 接地による安全の確保
  • 2.2 グラウンド・ストラップはより短く
  • 2.3 経年劣化を考慮した材料選択が必要
  • 2.4 導電性ガスケットで異種金属間の長期接続性を確保する
  • 2.5 露出金属部がある民生品に欠かせない安全装置
  • 2.6 フェライト・ビーズのGND 挿入は一利なし
  • 2.7 “グラウンド”は“電流のリターン”とは別物
  • 2.8 スイッチング周波数を上げると電界カップリングと損失が増す
  • 2.9 スイッチングを速める理由
  • 2.10 スイッチング損失とエミッションのトレードオフ
  • 2.11 駆動回路とモータをつなぐ3 相ワイアの処理
  • 2.12 最大のノイズ発生源「DC-DC 制御IC とインダクタ間」を最小化
  • 2.13 高周波スイッチング電流のループ面積を最小に
  • 2.14 キャパシタが基板全体に広く働く「グローバル」
  • 2.15 NP0 は温度補償用キャパシタ
  • 2.16 高周波でのデカップリング配置は「グローバル」に
  • 2.17 0603,0.01$\mu$F のキャパシタが好まれる理由
  • 2.18 デカップリング・キャパシタのグローバル効果
  • 2.19 信号の各帰還電流には専用面を割り当てる
  • 2.20 EMC対策のためにはスイッチング電流ループに着目
  • 2.21 プリント基板の色はソルダ・マスクの色
  • 2.22 一番多い基板の誘電体FR-4 の比誘電率は4~5
  • 2.23 マイクロストリップ線路の特性インピーダンスの目安97
  • 2.24 リセット入力端子には1kΩ の直列挿入が有効
  • 2.25 伝導,電界,磁界,放射,カップリングの種類を判別する方法
  • 2.26 グラウンド・パターン設計においてよくある誤解
  • 2.27 リンギング対策の第一歩は直列抵抗の挿入
  • 2.28 高速プロセッサのヒートシンクの最適なグラウンド処理
  • 2.29 マイクロストリップ線路の特性インピーダンスの目安
  • 2.30 電磁ノイズの放射と過渡電流注入による誤動作の回避方法
  • 2.31 間接ESD はリセット信号の直列抵抗で対策
  • 2.32 CMOS 入力回路はほぼ容量性
  • 2.33 シールドなしリボン・ケーブルで擬似差動信号を接続するな
  • 2.34 レシーバ入力のノイズ耐性は“$CMRR$”で評価する
  • 2.35 抵抗で遷移速度を制御する
  • 2.36 静電気ノイズ(ESD)による誤動作を直列抵抗で回避する
  • 2.37 $\pi$型フィルタ回路の正しいグラウンド設計
  • 2.38 8層基板より6層基板が好ましいケースもある
  • 2.39 容量性負荷駆動時のリンギング対策は抵抗追加が最適
  • 2.40 キャパシタは損失である“$ESR$”を考慮して使う
  • 2.41 部品記号“B”を使用してバイパス・キャパシタを一目瞭然に
  • 2.42 ディファレンシャル・モードは平衡線路で伝送する
  • 2.43 同軸ケーブルは不平衡線路である
  • 2.44 ディファレンシャル信号伝送には2 種類ある
  • 2.45 「平衡から平衡に」,「不平衡から不平衡に」が基本
  • 2.46 ディファレンシャルがコモンに変身するきっかけはただ1つ
  • 2.47 平衡-不平衡の線路は直接つなげない
  • 2.48 低い周波数ではコネクタの平衡度変化は無視できる
  • 2.49 不平衡線路は不平衡線路で受けて放射を最小限に
  • 2.50 リボン・ケーブルで平衡度を保つ工夫
  • 2.51 バッテリの出力抵抗が共通インピーダンスになる
  • 2.52 線路間の絶縁体の比誘電率が高いと電界結合が強くなる恐れ
  • 2.53 電流リターン経路を分ける「グラウンドの分離」は慎重に
  • 2.54 結合には4 タイプある
  • 2.55 クロックの偶数波が大きいときは電源バスを疑う
  • 2.56 低周波磁界は高透磁率材で迂回させる
  • 2.57 アルミ箔による平面波シールドの効果は100dB 以上
  • 2.58 低周波電界を遮蔽に効果的なのは高導電率材料
  • 2.59 装置間ケーブルのシールドはキャパシタでグラウンドに接続
  • 2.60 渦電流が高周波の入射磁界を反射する
  • 2.61 シールド効果は入射電力と透過電力の比
  • 2.62 反射,吸収,多重反射でシールド効果を計算するシェルクノフの式
  • 2.63 電界を吸収するカーボン・ナノファイバ入りプラスチック・シールド
  • 2.64 反射による共振発生でかえって放射が大きくなる
  • 2.65 DC~kHz 低周波磁界の遮蔽にはアクティブ・キャンセラも選択肢
  • 2.66 対象周波数にあった電磁界シールド材を選ぶ
  • 2.67 大地への落雷電流パスは空気の絶縁破壊でできる
  • 2.68 破壊的大電流の侵入を許さない
  • 2.69 落雷で電源線や通信線に誘導される雷誘導サージ
  • 2.70 3種類の過電圧保護デバイス
  • 2.71 雷による過電圧から回路を守る「ガス放電管」
  • 2.72 サイリスタはESD 対策に向かない
  • 2.73 最大電圧以上で短絡する大電力保護素子「クローバ」
  • 2.74 差動信号伝送では同軸ケーブルを用いない
  • 2.75 ワイレス充電は磁界を利用
  • 2.76 「1 点接続対策」は電圧基準の共有のためにある
  • 2.77 スペアナが測るレベルは平均電力である
  • 2.78 スペクトラム・アナライザで「電流」を測る方法
  • 2.79 周波数が近接する信号の電圧と電力の測り方
  • 2.80 伝達インピーダンス[Ω] の低いケーブルほど遮蔽性能が高い
  • 2.81 時間領域の反射率を測るメータTDR
  • 2.82 信号がスペアナの雑音に埋もれたら超低雑音アンプを追加
  • 2.83 ループのインピーダンスが50Ω を越えると周波数に比例しなくなる

第3章 部品によるノイズ対策

  • 3.1 比誘電率が高いX7R はセラミック・キャパシタ
  • 3.2 ソリッド抵抗器は電圧サージに強い
  • 3.3 遷移時間≒CMOSの入力容量$\times$直列抵抗$\times$2.2
  • 3.4 部品形状は表面実装型と挿入実装型の2 種類
  • 3.5 フェライト・ビーズは周波数により変化する抵抗素子
  • 3.6 キャパシタの重要な特性$ESL$
  • 3.7 タンタルと積層セラミックのデカップリングでの使い分け
  • 3.8 高性能すぎてもダメ!有効数字で上手に定数選び
  • 3.9 キャパシタ2 個でLPF を作るなら同容量に
  • 3.10 フェライト・ビーズは高周波を熱に変える
  • 3.11 良いコモン・モード・チョークは漏れ磁束が少ない
  • 3.12 電源フィルタ用インダクタの正しい追加方法
  • 3.13 低損失同軸ケーブルの基本
  • 3.14 特性インピーダンスより電気的バランスをキープ
  • 3.15 フラット・ケーブルを伝わる信号の速度
  • 3.16 媒質が均質なら導体形状とは無関係
  • 3.17 電気長の短い不連続部コネクタのモデリング1
  • 3.18 電気長の短い不連続部コネクタのモデリング2
  • 3.19 平行2 線を撚っても特性インピーダンスは変化しないが
  • 3.20 入力インピーダンスが線路長と無関係になる「整合」
  • 3.21 ワイア・ペアを撚るか,ワイア間隔を一定に保つべし
  • 3.22 ワイア・ペアの単位長当たりの抵抗値
  • 3.23 遷移が伝搬遅延の2~5 倍速いなら負荷を整合
  • 3.24 差動信号には平衡負荷で終端された平衡線路
  • 3.25 同軸ケーブルのロスは$\sqrt{f}$に比例
  • 3.26 損失大ほど終端の状態や反射の影響を受けにくい
  • 3.27 波動インピーダンスと特性インピーダンスは別物
  • 3.28 未知のケーブルや回路の構成を推定するTDR
  • 3.29 誘電体,シールド,ツイストは伝搬遅延を大きくする

第4章 理論・メカニズム

  • 4.1 差動信号の基板からケーブルへの受け渡し方
  • 4.2 シングルエンド信号のワイア・ペア伝送はNG
  • 4.3 ワイア・ペアを流れる電流から差動電流を求める
  • 4.4 ワイア・ペアを流れる電流からコモン・モード電流を求める
  • 4.5 結合は「伝導,電界,磁界,放射」の4 種類
  • 4.6 低周波の結合問題の主役は共通インピーダンス
  • 4.7 電磁カップリングのメカニズムは4 種類
  • 4.8 電界と磁界が同相で,距離に反比例して減衰する領域
  • 4.9 差動ワイヤ・ペアを撚ると信号への電磁カップリングが減少する
  • 4.10 ディジタル信号の高速遷移によるカップリング
  • 4.11 電磁界結合と放射結合の境界は“$2D^2/\lambda$”
  • 4.12 低周波磁界の結合が電気的に小さなループに発生させる電圧
  • 4.13 相互容量は定量化しやすく直感的
  • 4.14 伝導カップリングのメカニズム
  • 4.15 結合のメカニズムは電流経路の有無と距離の大小で見える
  • 4.16 GND面からの高さが並行配線間干渉に影響

第5章 規制・シミュレーションほか

  • 5.1 最大値,平均値と「準尖頭値」の関係
  • 5.2 電源を伝って流れ出るノイズ電流を検出する回路網“LISN”
  • 5.3 産業,科学,および医療機器用の周波数帯ISM バンド
  • 5.4 間欠ノイズを繰り返し連続に加えるバースト試験“EFT”
  • 5.5 3m の観測距離で40dB$\mu$V/m になる放射電力は極めて小さい
  • 5.6 サンプリング・レートと周波数帯域幅の関係
  • 5.7 分解能帯域幅$RBW$ は狭帯域と広帯域で適切に設定する
  • 5.8 直接波とGND プレーンの反射波との合成
  • 5.9 米国国防省では特別な調達規格がEMC にもある
  • 5.10 誘導性負荷の開閉を模擬するEFT 試験
  • 5.11 電力一定の信号の準尖頭値とピーク値は同じ
  • 5.12 伝導エミッションの正しいレベル計測
  • 5.13 エミッション規格とイミュニティ規格は放射と伝導で分ける
  • 5.14 ノイズ・フロアを均す描画アシスト機能ビデオ帯域幅“$VBW$”
  • 5.15 伝送線路を解析するなら2 次元電磁界シミュレータ
  • 5.16 電磁界数値解析の定番「モーメント法」
  • 5.17 多くのEMC 現象は$RLC$だけの回路に単純化できる
  • 5.18 平衡線路と不平衡線路の接続はコモン・モード電圧を作り出す
  • 5.19 10MHz 超の不平衡信号は平衡線路に流してはいけない
  • 5.20 早期ほどEMC 設計の自由度が高い
  • 5.21 増幅率10倍のアンプのゲインは20dB
  • 5.22 一にグラウンド,二にグラウンド
  • 5.23 EMCは生活の中に!それは大昔から

索引,著者紹介,奥付ほか