教科書が教えてくれない抵抗値選び


E12系列を使う!同じ抵抗値で揃える!

直列接続による抵抗調整

図1 抵抗値の選定は,増幅率や分圧比に直接影響する.単純な計算だけでなく,実際の回路設計では,E12系列の抵抗を使うなど,入手性やコストも考慮する.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[講師]善養寺薫(ディスクリテック)
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回路設計では,抵抗値の選定が増幅率や分圧比に直接影響します.単純な計算式だけではなく,部品の入手性も考慮する必要があります.E12系列の抵抗を使い,同じ抵抗値で揃えることで,コストダウンにつながります.

直列接続による抵抗調整

直列接続を用いると,複数の抵抗を組み合わせて希望の合成抵抗値を作ることができます.設計上,同じプリント基板で異なる増幅率や分圧比を実現する場合,2つの抵抗を直列にして調整することが多いです.

  1. 直列抵抗:2つの抵抗を足し合わせ,希望の抵抗値に調整
  2. 合成抵抗の最適化:部品数を増やさず,基板上の配置を変えない
  3. 増幅率調整:$R_1$と$R_2$の直列で増幅率を希望値に合わせる

並列接続による抵抗調整

並列接続を使うと,単一の抵抗値より小さい値を作り出すことができます.特に抵抗値を半分にしたい場合,同じ値の抵抗を2つ並列にします.この方法は分圧や分流を作る際に便利です.

  1. 2並列だけ使用:小さい抵抗値を簡単に作る
  2. 分圧設計:$R_1$と$R_2$を並列にすることで$V_1$と$V_2$の電圧比を調整
  3. 分流設計:$I_1$と$I_2$の電流を均等にするために抵抗を並列

設計時の注意点と効率化

直列や並列で抵抗値を調整する際,部品数を増やすと基板の読みやすさや検証効率が低下します.実務では,直列・並列を2個までに抑え,必要に応じてE12系列やE24系列の抵抗を組み合わせます.電圧分圧や電流分流の基本を理解し,抵抗の背負う電力$P$[W]を確認することで,発熱や過負荷を防ぐことができます.

  1. 直列・並列は2個まで:部品数削減,回路の可読性向上
  2. E12系列の統一:同じ抵抗値を多用して調整を簡略化
  3. 電力確認:$P = V \times I$で部品の発熱を管理

このように,抵抗値の選定は単なる計算ではなく,部品管理や基板設計を含めた総合的な判断が重要です.直列・並列の使い方を理解することで,回路設計の柔軟性が向上します.

〈著:ZEPマガジン〉

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参考文献

  1. [VOD]高速&エラーレス!5G×EV時代のプリント基板&回路設計 100の要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
  2. [VOD] Before After! ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  3. [Book/PDF]デシベルから始めるプリント基板EMC 即答200,ZEPエンジニアリング株式会社.
  4. [VOD/KIT]ポケット・スペアナで手軽に!基板と回路のEMCノイズ対策 10の定石,ZEPエンジニアリング株式会社.
  5. [VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点,ZEPエンジニアリング株式会社.