Excel活用のススメ 早期の放熱器の要否判断
初めの一歩!熱抵抗による部品の仕分け
仕上がりに影響大!放熱対策レベルを先読み
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図1 基板放熱の可能性は,部品の周長,放熱スペース,基板の熱伝導率によって決まる.目標熱抵抗が低い場合や高発熱部品では,放熱器の使用が不可欠.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[提供・著]国峯 尚樹 詳細:[VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点 |
電子部品の放熱対策を適切に行うためには,熱抵抗の観点から部品を分類することが重要です.部品ごとの消費電力,表面積,熱流束,単体熱抵抗を計算し,目標熱抵抗と比較することで,どのような対策が必要かを判断できます.
- 単体熱抵抗<目標熱抵抗の場合:自己冷却が可能なため,特別な対策は不要
- 単体熱抵抗>目標熱抵抗の場合:対策が必要
- 目標熱抵抗>30K/Wの場合:基板冷却での対策が可能
自己冷却が難しい部品は,さらに「基板放熱型部品」「放熱器が必要な部品」に分類し,それぞれ適切な放熱手段を講じる必要があります.
基板放熱が可能な条件
基板を利用した放熱が可能かどうかを判断するには,基板の熱抵抗と部品の配置条件を考慮する必要があります.以下の要因が基板放熱の限界を決定します.
- 部品の周囲に十分な放熱スペースがあるか
- 部品の周長 $L$ が大きいか
- 基板の残銅率が高く,等価熱伝導率 $\lambda_e$ が高いか
これらの条件を満たせば,基板放熱による冷却が可能になります.ただし,目標熱抵抗が非常に低い場合は,基板放熱だけでは対応しきれず,放熱器や冷却ファンの追加が必要になることがあります.
放熱器の必要性判断
放熱器の必要性は,目標熱抵抗と単体熱抵抗の関係から決定されます.一般的に,目標熱抵抗が1桁台(10K/W未満)の場合,放熱器の使用が推奨されます.
- 目標熱抵抗が大きく,基板放熱で対応可能な場合:放熱器不要
- 目標熱抵抗が小さく,基板放熱では不十分な場合:放熱器が必要
- 高発熱部品(CPUやパワー・デバイスなど):放熱器が必要
インダクタやトランスなどの部品は発熱量が多く,自己放熱能力が低いため,放熱器の使用が推奨されるケースが多くなります.〈著:ZEPマガジン〉
著者紹介
- 1977年 早稲田大学理工学部 機械工学科卒
- 1977年 沖電気工業に入社.電子交換機やミニコン,パソコン,プリンタ,FDDなどの冷却方式開発や熱設計に従事.その後,電子機器用熱解析ソフトの開発,CAD/CAM/CAEおよび統合PDMの構築などを担務
- 2007年 サーマル・デザインラボを設立.上流熱設計と熱解析の両輪による「熱問題の撲滅」を目指し,製品の熱設計,熱対策支援,プロセス改革コンサルティング,研修などを手がける.
著書
- [VOD]高速&エラーレス!5G×EV時代のプリント基板&回路設計 100の要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]Before After!ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]Before After!ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
- 高密度実装時代の熱設計教科書,トランジスタ技術2020年8月号,CQ出版社.
参考文献
- [Book/PDF]デシベルから始めるプリント基板EMC 即答200,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD] Before After! ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]ポケット・スペアナで手軽に!基板と回路のEMCノイズ対策 10の定石,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [KIT]ミリ波5G対応アップ:ダウン・コンバータ,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]GPSクロック・ジッタ・クリーナ,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【差動信号とその周辺回路設計技術】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【A-D/D-Aコンバータの使い方】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]Gbps超 高速伝送基板の設計ノウハウ&評価技術,ZEPエンジニアリング株式会社.