モータ制御器の定量設計目標値達成のための3変数

到達速度はPで，収束精度はIで，変動応答はDで

応答速度を安定性を両立！バランスの取れた制御


図1　P制御とD制御を適切に組み合わせることで，応答速度と安定性のバランスの取れたモータ制御が可能．さらにI制御を加えれば，定常偏差を補正できる．画像クリックで動画を見る．または記事を読む．［提供・著］南裕樹詳細：［VOD/Pi KIT］ラズパイ×Pythonで動かして学ぶモータ制御入門

モータ制御では，P制御（比例制御）は目標値に対する応答速度を高めるために用いられます．P制御は誤差に比例した制御量を出力するため，目標値との差が大きいほど，より大きな修正信号が生成されます．

制御対象の特性に応じてPゲインを適切に調整することで，応答速度を最適化することが重要です．しかし，Pゲインを過大に設定すると振動やオーバーシュートが発生しやすくなるため，適切なチューニングが求められます．

D制御（微分制御）は，誤差の変化率を基に制御信号を出力することで，目標値への到達速度や制御の安定性を向上させます．特に急激な負荷変動が発生した場合に，素早く補正する役割を果たします．

Dゲインが適切でない場合，微小なノイズにも過剰に反応し，不安定な制御となる可能性があります．フィルタを適用することでノイズの影響を低減できます．

モータ制御において，P制御とD制御を適切に組み合わせることで，応答速度と安定性のバランスを取ることができます．さらに，I制御（積分制御）を追加することで，定常偏差を補正し，より精度の高い制御が可能になります．

適切な制御ゲインの選定には，制御対象の特性を考慮し，シミュレーションや実験による調整が不可欠です．

PID制御におけるD制御の役割

D制御（微分制御）は，誤差の時間変化に基づいて制御量を決定する手法です．これにより，制御系の応答速度や過渡特性を改善できます．

D制御を適用することで，次のような効果が得られます．

D制御はノイズに敏感であり，高ゲインを設定するとノイズ成分が増幅されるため注意が必要です．〈著：ZEPマガジン〉

2009年3月　京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了．日本学術振興会特別研究員（DC2），舞鶴工業高等専門学校助教，京都大学特定助教，奈良先端科学技術大学院大学助教，大阪大学講師
2019年3月大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻准教授．ノイズシェーピング理論に基づく量子化器設計およびその応用に関する研究に従事．博士（情報学）．